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2016年12月8日木曜日

先輩たちは今

「大阪新卒応援ハローワークで就職活動をしていた私が、今は企業の採用担当者として会社説明会で就活生と向き合っている。当時は想像もできませんでしたね」

 港湾の物流や荷役事業、物流センターや倉庫事業などを展開する株式会社間口(大阪市港区)。コーポレートマネジメントカンパニー人事部で人事企画・開発課主任を務める女性=写真㊧=は笑顔でこう語った。

 平成24年4月入社。リーマンショック後の就職氷河期で、内定したのは入社式の半月前だった。
 「面接で出会ったのが今の上司です。仕事に取り組む熱い言葉が心に響きました。合わせて社員を大切にする社風を感じましたね」
 配属先は人事。大阪や京都の大学を中心に多い時は2週間毎日、上司と一緒に大学を訪ねた。今では主任として採用を仕切るとともに、後輩の指導にも情熱を注ぐ。

 今年4月には男性2人、女性1人が入社した。いずれも大阪新卒応援ハローワークを通じての採用だ。「自分と同じ就活の道を歩んだ後輩は、やはりかわいいですよ。数年前の私を見ているようです」

 新入社員の女性は同じ人事部に配属され、社会保険や給与計算を担当。男性2人は大手スーパーの物流センター運営に汗を流す。「西日本最大規模のセンターで、最適な人員配置や作業計画立案を行い、日々問題点を洗い出し、改善を行う仕事です。将来の若手管理者として、いい経験を積んで欲しい」と期待を寄せる。

 内定した学生へのフォローも大切な仕事だ。
 「学業は順調か、会社に対する不安や悩みはないか。本社に何度か来てもらい、懇親会でうちの会社に更なる理解を深めてもらう。定着にはこれが一番です」

 今後も人事のスペシャリストとしてキャリアを積んでいく。
 「会社は人材が命。私もハローワークの説明会が縁で入社できた。就活生の不安な気持ちは、私もそうだったから、よく分かる。今後も多くの学生と出会いたい」 

 悩みながらも仕事を一つ一つ覚えようとする後輩たち。その姿を温かく見守っている。 

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「青色一つとっても30種類の濃淡がある。わずか0.1グラムでもインクの量が違うと、紙に印刷した時の色合いは微妙に変わる。お客様が指定する色をどのように調合するか。難しいがやりがいのある仕事です」

株式会社和気(大阪府大東市)は印刷紙器(パッケージ)の総合メーカー。企画からデザイン、製造まで一貫した生産設備を誇る。同社でインクの「調肉」作業を担当する女性は仕事のやりがいをこう説明した。


 同社には今春、女性2人が入社、製造現場の最前線で活躍している。大阪新卒応援ハローワークでの会社説明会(レギュラーマッチングブース)がきっかけだ。





大阪製造部で印刷部門を担当する女性=写真㊨=は印刷機械の操作や印刷業務に関わるインキ調合、製版に携わる。品質管理部で仕上部門を担当する女性=写真㊧=は製品検査とダンボール箱への箱詰め作業に従事する。特に仕上部門は商品を出荷する最後の関門だ。「完成した箱がお客様の要望に合っているか、色や形に齟齬はないか。顧客目線で厳しくチェックしています」と気を引き締める。

 仕事をする上で特に気を付けているのはお客様目線の大切さである。

 「インキの調合には微妙なさじ加減が求められる。自分ではうまく出来たと思っても実際、紙に印刷してみると『あれ、違うな』。作業はその繰り返しです。なぜこんな色になるのか。微妙な色の違いの理由は何か。試行錯誤の毎日です」。理想の色にたどりつくまで、地道な作業は続く。

 品質管理も同じだ。「求められる色を出し美しいデザインのパッケージに仕上げても、強度が弱ければダメ。しっかりとした箱になっているか。見逃せない大事なポイントです」と話す。

12月に入った。未内定の就活生には「焦りや不安が大きくなって本当に自分がしたいこと、自分自身のことが見えなくなる時があるかもしれません。その時は一度足を止め、休憩がてらもう一度整理してみてください。突っ走るだけが就活ではありません」とインキ調合担当の女性。品質管理の女性も「周りの人が気になりますが、あくまでも他人は他人、自分は自分です。周りの人に惑わされず自分のペースで活動してください。皆さんにとって良い会社に巡り合えるよう願っています」と熱いエールを送る。

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 大阪新卒応援ハローワークは、当所を利用して就職した若者の職場を訪ねインタビューする「定着支援事業」を展開している。皆さんの先輩が今、何に悩み、何にやりがいを感じながら仕事に打ち込んでいるか。生の声をお伝えする。

 (学ハロ大阪新聞編集担当)

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