「説明会では多くの応募者がいた。採用者数は若干名。倍率は気にせず、自分ができることを精一杯やった。面接官が『志望動機や自己PR、伝え方が上手いね』とほめてくださった時は、嬉しくてたまらなかった。今まで積み重ねた努力は無駄ではなかったと実感できた」
信用保証協会に内定した近畿大経済学部国際経済学科の男性は笑顔で就活をこう振り返った。大阪新卒応援ハローワーク(HW)を利用して6カ月。窓口での相談は30回を超える。ジョブサポーター(JS)との二人三脚で掴んだ内定だった。
就活当初は大手企業だけを受け、多くのお祈りメールを受け取った。「何とかしないと」と思っていたところ、当所を知る。個別支援を受けながら学んだのは、地道だが、地に足をつけた就活の基本である。
例えばエントリーシート(ES)。「抽象的な言葉でなく具体的なエピソード交え書いた。会社説明会の参加は必須だ。社員と会った印象や感じたことをメモし、それをESや面接に生かした」
特に役立ったのは添削だ。書いては直され、という作業を何度も繰り返す。その度、JSから「なぜ、自分の強みをこの仕事に生かせると思ったのか」「その根拠は何か」と質問が飛ぶ。この考え抜く作業が自己分析につながった。
面接も「受けて終わり」にしない。話した内容はすぐノートに書き留め、JSと振り返った。「何を語り、何が伝えられなかったのか。次の面接に生かすネタはここにあったと分かった」
きょうも面接に挑む同輩にはこう伝えたい。
「私は留学経験もないし、学生時代、何かすごいことを成し遂げたわけでもない。面接では、ありのままの自分を伝えただけだ。結果、それが最善であったと今では感じている」
様々な会社や業界の方と出会えた。そして目の前にある4冊の就活ノート…。これが彼の財産である。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ところでウチの支店数、役員の数は知っていますか」
大手金融系不動産会社の最終面接。同志社女子大現代社会学部の女性はその瞬間、頭の中が真っ白になった。2人の男性面接官はにこりともせず、上目遣いでこちらをじっと見つめている。「いつもなら話し始めると緊張感が解けるのに…。これが最終面接の重圧なんだ」。分からないことを正直に伝え、何とかその場は乗り切ったー。
就活は今年2月から本格化。金融や不動産関係の事務職を見ていた。ところがESがうまく書けない。「大学の関係者に添削してもらったが、『ここはダメ、あれもダメ』。では、どうすればいいのかと尋ねても教えてくれなくて」。そんな時、友人から大阪新卒応援HWを紹介される。
役立ったのは、書き言葉や話し言葉の表現力が身に付いたことだ。
「例えば自己PR。単に部活動で頑張りました、では不十分。自分の強みは事務の仕事にこう生かせます、と書かないと面接官には伝わらない。志望動機は仕事内容と社風の両方をバランス良く表現しないと『この仕事ならウチでなくてもできるよ』と切り返されてしまう。そんな基本を初めて知りました」。4月からの相談は35回。直しては書くという作業を只管、繰り返した。
身上は行動力である。足しげく支店や住宅展示場に通い、現場を見た。
「例えば戸建て住宅では、間取りの雰囲気や構造は各社で違う。耐震性が売りなのか、空調や換気に重点を置いているのか。他社と比較してなぜ御社を志望するのかを現場で得たエピソードを交え話した。面接官の表情を見て、やはり説得力が違うと実感できた」と振り返る。
意中の会社からはその後、内定の連絡があった。「えっ、本当という気持ちでした」
志望の決め手は社風である。大学OBの女性と、その先輩の元教育係の方と会った。
「二人が交わす言葉のやり取りや仕事に対する姿勢、その雰囲気に会社の優しさが感じられた。協調性を重んじる社風は、自分にぴったりだ、と」
半年間の就活を振り返り感じることは、調べる大切さである。
「会社のHPを見ただけではそこで働く人や社の雰囲気は分からない。会社説明会に出向き、しっかりメモを取る。それをネタにESを書き、面接に備える。その地道な繰り返しが大切なんですね」
文字がぎっしり詰まった4冊の就活ノート。その言葉を裏付けている。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「大阪新卒応援HWを利用して意中の企業に内定しました」―。相談窓口には多くの就活生の声が寄せられている。内定者は当所をどのように利用して内定を掴んだのか。学ハロ大阪新聞の「私の就活日記 番外編」として体験記をお伝えする。
(学ハロ大阪新聞編集担当)