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2016年10月11日火曜日

上を向いて歩こう

「上を向いて歩こう」を作詞した永六輔さんは市井の人の言葉を丹念に集めていた。
「学校の成績とか、会社の成績が一位だったてェ奴に人の心がわかるもんか。大部分の人間は一位じゃねェんだもの」
「大企業、中企業、小企業なんていって、一応は大中小とある。でも大と中小という差じゃありません。大企業対零細企業と同じです。つまり、大企業のための国であり、政治であって… つまらないよね、こういう当たり前の話は。…小企業の社長の愚痴!」
無名だが、素直な目線から紡ぎだされる飾り気のない文章は、無名人名語録(講談社文庫、1990年)として多くの読者に愛された。

語録といえば大阪新卒応援ハローワークの学ハロ大阪新聞にも就活生の思いが掲載されている。連載の「就活日記」である。2014年の創刊以来、35人が登場。内定を得られない辛さや折れそうな心、支えてくれた家族への感謝の気持ちが文面にあふれている。
「とにかく夢にこだわりたかった。面接でもそんな自分を正直に出した。相手に信用してもらうためにはありのままの自分を伝えることが大切だと思った」
「大学院を出たとはいえ、自分は無職。どうやって仕事を探せばいいのか、それすらも分からなかった。『仕事をしていない自分』という現実に日々、押しつぶされそうになっていた」
「私は何かすごい経験をしているわけでもない。だから面接での質問には自分らしく素直に答えた。『御行が第一志望。ぜひ入りたいです』との熱い思いだけはしっかりと伝えられたと思う」
「会社から内定の電話があった時、思わず泣いてしまった。泣きながら話していた。『あなたは第一印象にインパクトがあって…』という担当者の言葉までは覚えているが、その後の記憶はない。しばらく言葉がでなかった」
決して記録されることはない就活生という「無名人」の矜持と息づかいが、ここにはある。

秋になった。「友人の多くは就活を終えている。自分だけが…」というあなたにはこんな言葉を伝えたい。あなたと同じく当所を利用し、今は銀行に勤めるある女子大生のものだ。
「ESも通らずグループディスカッションもだめ。周りと比べてもずーっと低空飛行だった。でもあえて私は胸を張って歩いた。なぜって。自分の弱さにだけは負けたくなかったんです」

                                          (学ハロ大阪新聞編集担当:S)

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