「大学生と地域が連携したまちづくり、そして伝統産業の振興。これを市職員として全力でサポートしたい。その思いが今、あらためて込み上げてきました」
京都市行政職に内定した同志社女子大生は1年3か月に渡る就活の最後を笑顔でこう締めくくった。難関の政令指定都市である。突破できたのは明確な志望動機と洛中を徹底的に歩いた行動力だ。
志望動機では、京の大学生が地域に溶け込めていない現状を語った。
「学生主催のイベントに参加したが、お年寄りや児童、連合婦人会など地域の参加と協力がなければ盛り上がりは長続きしない。学生と地域を結ぶ役割こそ、今の行政に求められている。それを市職員として携わりたい」
伝統産業への熱い思いもある。
「私の実家は祖父から続く畳店。後継者難をどうするか同じ課題を抱えている。技をどう継承し守っていくか。京の職人さんの思いと通じるところがある。手作りの商品をどうPRしプロモーションするか。情報発信で貢献したい」と意気込む。
最終面接の直前まで、京都市内をくまなく歩いた。祇園から哲学の道、大政奉還150年に沸く二条城など名所旧跡から上・中・下京区の路地裏まで自分の目で確かめた。日中は35度を超える猛暑日が続く。「なぜ自分は京都で行政の仕事がしたいのか」。汗を拭いながら自らを見つめ直し、問いかけた時間だった。
サッカーJ2・京都パープルサンガの試合にも足を運ぶ。隣のおじさんがチームの歴史を教えてくれた。京の老舗ラーメン店ではスープをすすり、スタミナをつける。伝統産業ふれあい館では、自ら工芸品の制作を体験。職人さんからの「試験、頑張れよ」との言葉が、心の大きな支えになった。
大阪新卒応援ハローワークでは、ジョブサポーター(JS)から市の予算をしっかり読み込む大切さを聞く。
「市長が重点を置く施策は何か。それを実行するうえで私は市政にどう貢献できるか。面接では予算の数字を交えて話すと、面接官の表情が変わった。『よく調べていますね。熱意は伝わっていますよ』と。やった、と思いました」
公務員試験はロングラン。心が折れそうな時は合気道で培った気持ちの強さで乗り切った。「面接官とは言葉をポンポンと投げ合う、そんなやり取りだった。自分の言葉で自分らしく、素直に伝える。これが一番なんですね」
日焼けした顔に白い歯と笑みがこぼれた。9月の爽やかな風が一足早く、実りの秋を運んでくれた。
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「友人が犯罪の被害にあった。事件は身近なところで起こっている。府民が安心して暮らせる。そんな当たり前だが、大切な日常を守りたい」
大阪府警と福岡県警に司法警察職員として内定した関西大の男性は志望理由を力強く語った。
殺人から詐欺、窃盗、暴力団抗争…。警察官の仕事は24時間待ったなし。刑法や刑事訴訟法の知識も必須だ。調書では分かりやすく事実を伝える筆力も求められる。知力と体力が勝負である。
そこは11年間の野球部の活動で培ってきた。「練習はお正月などを除き、毎日あった。夏も冬も只管、バットを振りノックを受けた」。だが、レギュラーにはなれなかった。「悔しい思いはずっと、心の中にあった。しかし、レギュラーを支え、チームの勝利に貢献できる道もある」
そんな思いで取り組んだのが3塁ランナーコーチだ。2死2塁。打者がレフト前にゴロでヒットを打つ。「外野手の肩の強さと走者のスタートを見て、ホームに突っ込ませるかを瞬時に判断する。補殺となればゲームの流れが相手に渡る。自身の判断がチームの勝敗に大きく影響するだけに、決断力の大切さが身に付いた。また控え選手がどんな思いで試合を見つめているか、それが分かった」
就活では、作文と面接対策に力を入れる。
「なぜ、警察官を志望するのか」「チームワークとは何か」。連日、600字から800字の作文をJSに渡し、添削を受けた。そこで知ったのは具体的なエピソードと書いて伝える大切さである。
「犯罪統計の数字を盛り込めば文章に客観性がでる」「野球部で控えだった時の思いを軸に、組織とは何かを考えた」
添削や作文が自己分析に繋がり、なぜ警察官を志望するのか、より明確になった。面接練習は「この文章を何度もブツブツつぶやいた。相談窓口でもアウトプットを繰り返し、記憶に定着させた」。そんな地道な努力と警察官への熱い思いが内定につながった。
「市民生活の安全を最前線で守る。これが警察官のプライドであり、やりがいやで」―。
大阪府警のある警視の言葉が、くじけそうな就活を支えてくれた。
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「大阪新卒応援HWを利用して意中の企業に内定しました」―。相談窓口には連日、多くの喜びの声が寄せられている。内定者は当所をどのように利用して内定を掴んだのか。「私の就活日記 番外編」として体験記をお伝えする。
(学ハロ大阪新聞編集担当)
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