「商品を通じてお客様と触れ合い、笑顔にしたい」。四條畷学園短期大学の女性は大手アパレルメーカーの販売職に決った。持ち前の快活さと丁寧な言葉遣い、販売職が天職と思わせる笑顔である。
面接では、こんなミッションが出た。「仕事のやりがいについて百貨店で働く販売職の社員にインタビューせよ」
さっそくアパレルや雑貨店で働く男女4人のプロと会った。そこで聞いたこんな言葉が胸に残っている。「自分がおススメした商品をお客様が買ってくださった。私のことが認められたようで本当にうれしかった。これが販売職の醍醐味だよ」。
自身も飲食店のアルバイトで同じ経験をしている。「お客様が私を名前で呼んでくださったり『美味しかったよ。また来るで』と声を掛けてくださったり。その言葉で本当に胸が熱くなった。もっと喜んでいただけるよう頑張ろうって」。面接には、そのアパレルメーカーのスーツを着て臨み、思いを伝えた。
「笑顔を大切に、お客様が喜んでくださる接客をしたい」―。この気持ちを大切にして売り場に立つ。
★★★★★★
「大学生協は食料品から文具、参考書まで何でも揃っている。学生の日常をしっかりサポートしたい」。大学生活協同組合本部に内定した追手門学院大出身の女性はこう語る。
大学卒業後は、地方自治体の相談窓口で住民と向きあってきた。「市民は様々な難問を抱えながら日常を懸命に生きている。なんとかお役に立ちたい」。そんな思いで業務に邁進してきた。大学生協を希望したのは「やはり学校という場が好きだから。学生は同じ世代。食生活や学業を支援できるところが生協の魅力です」。
面接前には京都大や同志社大、関西学院大の各生協を訪れ「食堂で定食を食べながら、仕事場を観察」した。「食堂が忙しい時間帯、職員はどのようにレジで対応をしているのか。書籍、購買フロアの品揃えから売れ筋の大学グッズまで、しっかりと見てきました」。面接官からも「よく研究されていますね」と評価され、内定につながった。
今春から関西学院大での勤務が始まる。「生協で見かけたらぜひ、声を掛けてくださいね」
★★★★★★
「火災予防や救急で市民の命と財産を守りたい」―。豊中市消防局に内定した佛教大学の男性は力強く抱負を語った。
なぜ縁の下の力持ちなのか。きっかけは高校時代に遡る。野球の名門、徳島商業高校野球部で甲子園を目指していた。朝から晩までそれこそ練習の毎日。「地獄のノックや素振りにランニング。体力とメンタルの強さが身に付いた」。だが、甲子園の夢は潰えた。
目標を失いかけた時、気付いたのがレギュラーメンバーをサポートする役割だった。「練習の準備やグランド整備で甲子園を目指す仲間を支えたい」―。これが原点だ。
大阪新卒応援ハローワークでは、作文の添削や面接練習に力を注ぐ。防災や救急で市民をどう守るか。この思いをどう伝えるか。面接練習で高めていった。「防災は消防や警察など行政の力だけでは難しい。市民の協力をいかに得るか。それが喫緊の課題だと思います」。
早くもふるさと豊中の未来を見据えていた。
★★★★★★
亡き父に捧げる内定である。大阪経済大出身の男性はパッケージの制作・販売会社に決まった。「心待ちしていた父に直接、伝えられなかったが、喜んでくれているだろう」。今春から営業職としての新生活が始まる。
就活は昨年秋から本格化。レギュラーマッチングブースにも足しげく通った。「社風と仕事内容を直接、採用担当者から伺い、働くイメージもできた」と振り返る。
パッケージ会社の最終面接は課題としてプレゼンテーションがあった。カタログに掲載されたケーキの箱について、デザインや機能を役員の前で説明するというものだ。面接まで残された時間はわずか。さっそく大阪新卒応援ハローワークでJSと一緒にその練習に励んだ。「パンフレットを熟読し伝えるべき特徴は何か。しっかりと掴んだ上でスクリプトを作り何度も何度も声に出した」。当日は緊張しつつも「やれるだけのことはやった。後はもう…」という境地になれた。
内定に母も喜んでくれた。「これからは自分が一家を支えるんだ」。気持を引き締めていた。
★★★★★★
大阪新卒応援ハローワークを利用し意中の企業に内定した若者たち。就活中はどんな思いで相談や面接に臨んでいたのだろうか。彼らの等身大の姿をお伝えする。
(※ご本人の了解を得て、掲載しております)
(学ハロ大阪新聞編集担当)